去る本年三月三日、多くの道友に愛された渡邉隆志理事がご逝去なさいました。享年七十四歳、あまりの突然のお別れでした。まだまだご活躍頂きたい方でした。
故渡邉隆志理事は平成二十年の四月に都連の理事にご就任なされ、十六年の永きに亘り都連では中心的役割を果たされました。最近では東京武道館の広域合同稽古の担当役員として活躍戴いておりました。
一方、平成二十六年には(公財)東京都体育協会(現東京都スポーツ協会)から『生涯スポーツ功労者表彰』又、令和二年度には主催する渋谷区合氣道同好会が『生涯スポーツ優良団体表彰』を授与されています。
都連の定例理事会議の席では渡邉理事の発言が会議の方向に影響を与えることが屡々ありました。時には昭和然とした保守的なご意見を述べられることもありました。それも皆が笑って受け入れてしまう、当に氏の暖かいお心を感じ取ってしまうからだと思います。印象的な濃い眉毛、野武士然とした風貌から飛び出す駄洒落、周囲の人を引き付け魅了してしまうのは氏の広く優しい心、お人柄故だと思います。返す返す惜しい方を失いました。
去る二月十一日(日)東京武道館の演武発表会には演武者をお引き受け頂きました。 しかし、その直前に内臓に疾患が見つかり手術が必要となりましたが、外見上普段と全く変わらぬご様子でした。偶々手術の日程が延期、演武発表会後の二月十四日に入院と決まり、演武会出場可能となりました。全く手術に対する不安を微塵も見せず、『渡邉です。入院は二月十四日です。』とのその時の携帯ショートメールの遣り取りが今も私の手元に残っています。
東京武道館大武道場での我々観客の前で披露された、この時の演武が最後の演武となってしまいました。和田哲史四段、生田泰宏参段、の受けお二人を相手に七段位に相応しいゆったりした演武をご披露いただきました。
演武後、会場における記念写真で満面の笑みを浮かべた受けの方々とのお写真が遺影となってしまいました。
永きに亘り合気道の普及発展に尽くされた事に深く感謝申し上げます。ご冥福をお祈り申し上げます。
東京都合気道連盟理事長 藤城清次郎