第六回全国合気道指導者研修会が平成三十年十一月二日~四日に千葉県勝浦市日本武道館研修センターにおいて開催されました。この研修会は日本全国の合気道を指導する中学、高等学校の教員を対象に、学校教育における合気道の指導方法に関する実技及び講義が行われ、合気道の指導の充実に資することを趣旨とし、同時に各都道府県合気道連盟関係者も参加し、「倫理観の質の向上について」話し合われました。全国の都道府県より連盟関係者六十名、保健体育科教員九名、本部道場委嘱指導者三名が参加しました。
初日の十一月二日は開講式後、特別講師として植芝守央道主の講演「合気道とは」では歴史、稽古法、技法の説明があり道主
先生が稽古着を着用し実際に技を行いながら講義をされました。続いて、東京学芸大学非常勤講師 川城健先生の「生涯スポー
ツにつなげる合気道の授業」についての講義では、中学での体育の授業は生涯につなげる授業であり、卒業し何年も経てから稽
古に戻るような授業にすることが大切であると熱のこもった講義でした。
二日目午前中は学校指導者と都道府県連盟関係者の二つに分かれ、学校指導者は梅津翔先生の中学校合気道指導法①「一年生の授業内容」そして日野皓正先生による指導法②「二年生の授業内容」に 袴を脱ぎ、初心にもどり受講しました。また、都道府県連盟関係者は「倫理観の質の向上について」話し合われました。午後は全員で(公財)合気会常務理事 林典夫先生の進行により中学校三校と加茂市全中学合同の合気道授業実践例の報告がありました。評価法は難しい課題だと感じました。その後DVD「中学校武道必修化指導 合気道編」を視聴、最後は本部道場指導部師範 金澤威先生による中学校合気道指導法③の解説、稽古法の講義がありました。
三日目は放送大学教授 魚住孝至先生による「宮本武蔵の五輪書に学ぶ」についての講義で、魚住先生のわかりやすい宮本武
蔵と武士の生き方、精神の解説、剣の捌きは大変興味深く勉強になりました。午前十一時にすべてのスケジュールが滞りなく終
了し閉講式が行われ、(公財)日本武道館振興部振興課 松尾貴之 課長より修了証授与があり、解散いたしました。
実技指導は金澤威先生、日野皓正先生、梅津翔先生のご指導でしたが、モチベーションが違う生徒及び体力が十分でない生徒を含む学校武道教育は、合気道の有段者が即、学校武道教育の指導ができるというものではありません。指導者は通常の道場での指導より、一つ一つの動きを分解し分かりやすく丁寧に指導しなければなりません。例えば、畳に黒色のテープと白色のテープを貼り、黒のテープ側の人、白のテープ側の人とはっきり分け、受けと取りの認識をはっきりさせ稽古します。後ろ受けも数段階に分けて指導します。最初は座って頭を畳に着かないように体を丸くする稽古をし、次に片膝を立てた状態で稽古します。次の段階で立って足を引き、膝を畳につけます。立って膝を畳につけることができるようになったら尻を着き、背中を丸めて後ろに転がります。
同じ動作を何度も繰り返す稽古は中学生にとっては飽きてしまいます。ボール、ペットボトルや新聞紙を丸めて持って稽古する
など、工夫をして指導することの講義もあり大変勉強になりました。最後に、このような講習会に参加させていただく機会をいただきました事に心より御礼申し上げ、今後の更なる学校武道教育の充実をお祈り申し上げます。同時に東京都合気道連盟も生涯稽古につなげるよう日々稽古に精進しそして合気道普及に協力をさせていただきます。(木下悦子記)